世界的スプリンターになるために

1. はじめに

 こんにちは。一年ぶりの投稿になりますが、皆さんお元気でしょうか。

 私は世界選手権出場、来年の世界選手権に向けた準備など、一年が矢のように過ぎていきました。そして気づいたら、去年の投稿からちょうど1年が経ちました。去年の記事を改めて読み返してみましたが、ずいぶんかっこつけたことを書いていたなと思います(笑)。まだの人はぜひ読んでみてください。世界で戦う最後の2年間を全力で駆け抜ける覚悟を決めた!、と豪語した私はそれからの365日を全力で駆け抜けられたのかを振り返ってみようと思います。

2. 去年決めた目標

 目標や覚悟を決めても、それを計る指標がないと意味がありません。まず私が去年掲げた目標を振り返り、それぞれについてどのようなアプローチをとり、どういった結果となったかを振り返ってみます。

 まず、大目標が二つあります。

  • 2022年世界選手権スプリント1桁順位
  • 2022年世界選手権ノックアウトスプリント決勝進出

 大目標を踏まえ、2021年の目標は以下に設定しました。

  • 3000m 9分切り
  • 5000m 15分30秒切り(最低15.45切り)
  • ハーフマラソン 75分切り
  • 世界選手権予選 巡行 105切り
  • 世界選手権 決勝進出

 昨年の記事で書いた通り、5000m14分台を2022年に達成します。そのためには、3000m8.45以内も必要になります。今年は、まず3000m9分の壁、5000m15分台の壁、その先の15.30の壁を破ることを念頭に置きました。また、ハーフマラソンにおいては70分切りの野望があるので、まずは75分以内を達成しようと考えました。
 世界選手権では、予選通過が現実的なラインとなる巡行105切り、決勝出場を設定しました。
 目標を踏まえ、私がどのようなアプローチをとり、目標をどこまで達成できたかを、走力、国際大会の2点から見ていきます。

3. 走力

 走力の目標は以下の3つです。

  • 3000m 9分切り
  • 5000m 15分30秒切り(最低15.45切り)
  • ハーフマラソン 75分切り

 結果は次のようになりました。

  • 3000m 8.56
  • 5000m 15.27
  • ハーフマラソン DNF

 3つ中2つは達成です。
 これまで行った取り組みを軽く振り返ってみましょう。

仲間と一緒に強くなる-日曜ロングランナー結成-
 今年、圧倒的な成長を目指すトレーニングチームができました。まず、強くなるためには一人で頑張れなければいけません。一方で、一緒に頑張る仲間がいるとトレーニングが楽しくなります。仲間が強くなり、ライバルになると自分の成長につながります。さらに応援する選手がいると、大会観戦もより楽しくなります。いいことづくめですね。そんなこともあり、市川市民の橘選手、早稲田の後輩入江、森清選手、最近加入の市川市民奥村選手と共に「日曜ロングランナー」を結成しました。
 活動はいたってシンプル。「みんなで楽しく走って遠征して圧倒的成長!」です。今年は合同トレーニングだけでなく、スプリント合宿、ハーフマラソン合宿、大会遠征、懇親会など思ってみれば色々やりました。某ウイルスの影響で大会などがなくなる中、皆でモチベーションを保ちながら楽しくトレーニングできたのはとてもよかったなと思っています。
 話を戻すと、仲間と一緒にトレをする中で大切にしていることがありました。それは、合わせないことです。合同トレをしているとどうしてもレベル差が出ます。その際、無理にペースや距離を合わせようとすると、お互いにストレスが溜まります。そのため、私たちはつけなくなったら遠慮なく切り離して最後に合流など、それぞれが自分のペースで高めていく方式をとっていました。こうすることで、早く走れる人は自分の強度を確保でき、ついていけない人もトレーニング仲間に気を使わせる必要がなくなります。合同トレーニングは一緒にその場にいることが大事かなと思うので、それなりにうまくいっているのかなと考えています。
 まだこれらの活動が実を結んだかはわかりませんが、それぞれの選手が国際大会、全日本、インカレで成長を実感できているのはとてもうれしいです。

基礎走力を上げる
 走力目標を達成できた要因はいくつもあると思いますが、中でもジョグは一番大きなウェイトを占めているでしょう。数年前、根本選手がカレンダーで書いていたかと思いますが、トレーニングにおいて基礎的なジョグはすごく大切です。この一年、もちろんワークアウトなどは積極的にやってきましたが、ここで書く価値があるのはジョグの重要性だと思います。効果はググったり、根本選手の記事を読めばわかるので、ここではこの一年で私が感じたことを書いていきます。
①自分の体調、レベルがわかる

 普段は、早いジョグ(まあまあしんどいくらい)、普通のジョグ(楽だけどフォームは崩さない)の二つを行っています。自分のペースに一応の目安はありますが、体調や気候、コースによって変わります。従って、普段は主観的強度を重視しています。
 主観的強度を意識すると、自分の体調やレベルがわかるようになります。日々トレーニングを行うと、自分の状態が微妙に違うことに気づきます。ある時は思ったよりペースが速く、ある時は体が重く、筋肉の張りを感じたりします。自分の体の状態の変化に敏感になれるのです。例えば、私はジョグが遅くなっている時は睡眠を長くとり、筋肉の張りを感じたら早めに対処します。ジョグで気づいた体の状態への対応が、一年大きな怪我無く継続的に練習が続けられた理由だと考えています。また、ジョグのペースを一年単位で見ると、自分のペースが変化していることに気づきます。例えば、同じ強度のジョグがキロタイム10秒程度早くなっていることがあります。主観的強度により、自分の成長が確認できるのです。
②ワークアウトの効果が向上

 次に、ジョグを積み重ねるとワークアウトの効果が上がります。インターバルなどのワークアウトは、皆さんも取り組んでいることでしょう。しかし、ワークアウトが練習の大半では伸び悩みます。少なくとも私はそうでした。そこで、私は年単位で継続してジョグを行い、レース前に集中して質の高いワークアウトを取り入れました。その結果、練習ごとに明らかに体のキレが増していくのを実感し、今年は自己ベストを3度更新できました。これを読んでいるオリエンティアの方は、だまされたと思ってまずは継続してジョグを行ってみてください。
③暑さ、寒さに強い体になる

 最後に、ジョグは寒暖に強い体を作ります。今年の夏は、意識して昼間に練習を取り入れました。特に30度を超えた高湿度の環境で練習を続けました。もちろん体への負荷は半端なく、睡眠時間は伸び、内臓疲労と夏中戦いました。しかし、3週間ほどジョグを続けると、暑い環境でも走れるようになります。また、暑さが落ち着くと一気に早くなります。炎天下のジョグはリスクを伴うのでお勧めはしませんが、継続して取り組むと寒暖に耐えられる体になり、有酸素能力の大幅な向上を可能にするそうです(体験談)。

 早くなるためにやることは地味です。目標達成のためには、トレーニングを楽しめる環境を作り、地味なことを怪我無く継続することが大切だと気づいた一年でした。

4. 国際大会

 国際大会は、チェコで開催された世界選手権、デンマークで開催されたトレーニングキャンプに行きました。それぞれについて競技の結果と気付いたことを書いていきます。
①世界選手権
・Sprint qualification: Disq
・Sprint Relay: 21位
 目標達成はできませんでした。完全に実力不足です。
 世界選手権出場に当たって、私は走力的な目標を達成できていたので、ただ出場するだけにはならないだろうと思って臨みました。現地では、トレーニングは短い時間で集中して行い、かつ体のキレを失わないようにトラックトレーニングなども取り入れながら調整していました。概ねこの調整はうまくいったと思います。
 スプリント予選は、城跡のようなところで開催されました。いい写真がなかったですがこんな感じです。久しぶりの国際大会ということもあり、思ったより緊張していたのかもしれません。結果は8番を飛ばしての失格でした。

 ランニングはある程度自分の力を出せたと思います。しかし、上コースの10番まで見られるような細かいスプリントへの対応力は身に着けていませんでした。方向転換が多くナビゲーションに負荷がかかる上、ルートチョイスが必要なコースへの対応力は、今後の世界選手権で戦う上で身につけなければいけないスキルだと実感しました。
 スプリントリレーは、1走で大きく出遅れてしまいましたが、2走として最低限の走りはできたと思います。トップ+2.35はおおむね走力+技術差です。世界選手権で自分の力を出し、今後の成長に向けた糧が得られたのはよかったです。
 世界選手権を通じて、上で書いたこと以外に二つの課題が出てきました。
 一つはランニングテクニックです。国際大会に出て一番実感するのは、不整地や細かい所での走力差です。私は前述した程度の走力を持ったうえで世界選手権に臨んでいるので、アスファルトなどの地面ではそこまで大きな差をつけられません。しかし、芝生や斜面、切り返し、カーブや階段などスプリント特有の場面でことごとく差をつけられていました。それぞれの場面での1秒の躊躇、1%の減速が順位を大きく変動させるのだと実感しました。
 二つ目は、不確実性への対応力です。スプリント予選は8を飛ばして失格になりましたが、その前の7をとる段階で人にぶつかりそうになっていました。その時のわずかな動揺がそれまでの集中の糸を切り、私を9に向かわせました。このケースに限らず、国際大会は不測の事態の連続です。私が3回出場したJWOCスプリント全てでDisqだったのも、不測の事態や気持ちの変化に耐えられなかったからでしょう。
 これらの課題は、日本でやっていてももちろん気づくことができます。しかし、本当の弱点は、国際大会や、日本でいう全日本やインカレのような入念に準備し、高いレベルでのパフォーマンスが求められる場面でこそ表面化します。世界選手権の結果はもちろん満足のいくものではありません。しかし、世界選手権を通じて上記の課題が見つかり、さらなる成長につなげることができるので、来年はさらに強くなった私が見られるでしょう。
②デンマーク遠征
 10月はデンマークに遠征しました。後輩の入江選手と仲良く二人で遠征です。実は二人合宿は2回目で前回は菅平、今回はデンマークでした。遠征のあれこれは入江選手が書きたいと思うので割愛します(笑)
 デンマーク遠征は、翌年の世界選手権に向けて、スプリントを集中して取り組み課題を明らかにする、自分の実力を確認する意図をもって計画しました。トレーニングキャンプはかなりタフで、レース含めて1週間で110㎞くらいは走りました。最後のほうは疲れ果てていましたが、何とか二人とも大きな怪我無く最後まで質を維持しながらこなしきれました。
 トレーニングキャンプを通じて、世界の選手との本当の差、及び自分たちの強みを知ることができました。世界選手権は、レース1本にすべてをかけて臨みます。逆に言うとその一本ですべてが終わってしまい、世界レベルに達するために必要なことを考察することや、スプリントの練習を集中して行うことはできません。一方今回のキャンプは、YannickやKris Jones選手など、世界の超一流選手や、次世代を担うであろう私たちが目標にできるような選手も参加していました。彼らと反省をし、レースを通じて間近に走りを感じることで、次のレベルへの道筋を考えることができました。
 特に遠征で得たものは2点あります。
 一つは、連戦を経験し、体の状態の変化と対処法を知れたことです。キャンプでは、水曜日にノックアウトスプリントを1日4レース、木曜日にスプリントリレー、土日で5レース全力で走りました。体へのダメージはかなり大きく、日曜日は体のキレが明らかに悪かったです。しかし、世界選手権は連戦が続きます。来年私がスプリントで決勝まで走り、ノックアウトスプリントで決勝進出したら6レース走ります。キャンプでこのスケジュールを経験したことで、4日で6レースを全力で走り切るための調整、及び体力、精神的準備を一年かけて具体的なイメージをもって行えるようになりました。
 二つ目は、実力が上の選手と並走する機会が非常に多く、スピード感、オリエンテーリングテクニックを具体的に知れたことです。私は動画などで選手の動きを研究することはよくありますが、実際に走ってみないとスピード感や技術は分かりません。特に、フラッグ周り、ナビゲーションによるふらつき、スピードの出し入れなどを競り合いながら(後ろからのほうが多かったですがw)体感できたのは、来年の世界選手権に向けて大きなプラスになりました。

まとめ

 一年の軌跡を書こうと思ったらかなりざっくばらんに書いてしまいました。こうやって書いてみると、1年は短いなと思います。毎日走り、世界選手権、トレーニングキャンプに出場したら1年が過ぎていました。気づくともう私の残りの競技人生は半年程度。振り返ってみましたが、この一年は妥協なく頑張れていたと思えます。少なくともトレーニングは一度もさぼらなかったので。こういえるのも、今の環境が恵まれているからだと思います。年を重ねると、自分の夢を追うのがどんどん難しくなると日々実感します。様々な人に応援してもらい、競技に打ち込む時間を与えてもらい、他にあったであろう人生をあきらめてオリエンテーリングに打ち込んでいるんだなと、ふつふつ感じます。毎日感謝の気持ちを持ち続けるのは難しいと思いますが、結果を出そうとする姿や、来年の国際大会の結果でその恩を返していきます。明日もがんばります。

世界的スプリンターになるために

1.はじめに
 こんにちは。日曜日のAdvent Calendar担当の尾崎弘和です。
 今日はインカレスプリントですね。これを書いているのはその前なので、一緒に練習してきた後輩がどういう結果を残すか楽しみな時です。自分のレースだけでなく、最近は誰かのレースの結果を見るのも楽しいと思えるようになりました(笑)
 以前もちょこちょこ書かせてもらっていますが、今回は極めて個人的でコアな内容なので、裏でこそこそやらせてもらえればなと思います。
 一応自己紹介をさせていただきます。私は麻布高校、早稲田大学とオリエンテーリングを続けて、今は人生の半分以上オリエンテーリングをしています。所属はトータスと京葉オリエンテーリングクラブです。オリエンテーリングのほかにもオリエンティア軍団でスカイランニングを楽しんでいます。皆さんYoutubeを見て高評価、チャンネル登録よろしくお願いします(笑)

https://www.youtube.com/channel/UCzgDObEdDlm6Nc3EbdqpLXw
 
話がそれました。競技成績も少し紹介しますね。全日本はスプリント1回、ロング2回優勝しています。アジア選手権はスプリント、リレー2回優勝しています。アジアでは割と早いオリエンティアかなと思っています。
 今回何を書こうかというと、自分の競技の一つのゴール地点についてです。私も気づけば29歳になり、多方面から様々なプレッシャーがかかってくるようになりました。思い返してみると、自分の世界選手権での結果は20代前半と大差なく、所謂停滞を続けている状況です。何が言いたいかというと、こんな中途半端な取り組みで、自分の人生を浪費していいかということです。このまま大した成功も収めず、世界に挑んだ名もなきオリエンティアとして競技者を終えるのもいいかもしれません。ただ若い今しかできない世界との戦いで、何か足跡を残して競技者としての一線を退きたいと考えるようになりました。そこで今回は、私の大きな目標である「世界的スプリンター」への挑戦を書いていこうと思います。

2.目標
 目標はこの二つです。

1.2022年世界選手権スプリント1桁順位
2.2022年世界選手権ノックアウトスプリント決勝進出

 見ただけじゃよくわかりませんね(笑)少し説明を加えます。
 まず、スプリント1桁は、当然過去に達成者は誰もいません。道筋を知っている日本人は誰もいません。要するにすごい世界です。ちなみに日本人男子は直近10年誰も決勝に進出していません。
 ノックアウトスプリント決勝はさらにシビアです。オリエンテーリング中のキロタイムは3分フラットになります。さらに選手との駆け引き、ラストスパートの戦いを制さなければいけません。オリエンテーリング力だけでなく、陸上のラストスパート力、駆け引きも身につけなければ太刀打ちできない世界です。リンクを貼っておくので詳細は動画をご覧ください。


 
私自身、この世界をまだ言葉で説明することができませんが、人生の一部をオリエンテーリングに捧げて目指す価値のある目標だと考えています。次に、目標達成までの道のりを考えていきます。

3.目標の世界
 ここでは、目標達成に必要な能力について考えていきます。
 まず走力です。
 WOC2018のトップ12を見てみます。

1 132 Daniel Hubmann 83 Switzerland 14:05,9 0:00,0
2 144 Tim Robertson 95 New Zealand 14:07,0 +0:01,1
3 129 Andreas Kyburz 88 Switzerland 14:26,0 +0:20,1
4 145 Yannick Michiels 91 Belgium 14:26,6 +0:20,7
5 134 Matthias Kyburz 90 Switzerland 14:28,4 +0:22,5
6 114 Emil Svensk 93 Sweden 14:28,5 +0:22,6
7 136 Andreu Blanes 91 Spain 14:29,3 +0:23,4
8 121 Martin Regborn 92 Sweden 14:34,8 +0:28,9
9 142 Artem Popov 91 Russian Federation 14:43,8 +0:37,9
10 135 Kristian Jones 91 Great Britain 14:44,7 +0:38,7
11 133 Vojtech Kral 88 Czech Republic 14:46,0 +0:40,1
12 143 Milos Nykodym 90 Czech Republic 14:46,6 +0:40,7

 この中で、走力がわかっている選手を見てみます。
 ベルギーのYannick選手、英国のKris選手は言わずと知れた超高速ランナーです。彼らは5000mを13分台で走ります。また、スイスのMatthias選手、チェコのVojtech選手,ニュージーランドのTim選手などは、5000m14分台の走力を持っています。スイスのDaniel, Andreas選手は、15分フラットです。スイスの選手のトラックタイムは、以下のサイトから確認できます。

https://trackmaxx.ch/results/?race=SOLV20-1
 
以上を総合すると、トップ10に入るためには少なくとも15分前半の走力、できれば14分台に乗せることが必要と分かります。
 次に、私が2019年に出場したワールドカップの巡航速度の視点から見てみます。スイスで行われたWC Finalでは巡航114、ノックアウトスプリント予選では113,中国では112となっています。つまり、私の巡航速度は113程度です。これは、トップ選手と私の5000mのタイムの比率とほぼ一致します。つまり、ここからも5000mのタイムを14分台に近づけることが目標達成の前提条件になることがわかります。
 また、個別にレッグを分析していくと、ショートレッグより、ロングレッグで大きなタイム差がついていることがわかりました。ロングレッグは、ショートレッグに比べて手続きの回数、スピードの出し入れなどが多くなります。したがってロングレッグの差を埋めるためには、ふらつきなどの手続きのクオリティの差、追い込みの差、不整地などの走りの差、スピードの差など細かい課題を解決しなければいけません。さらに、ロングレッグの差は巡航速度の差につながります。ここを改善すれば巡行を100%台にあげることができることが、同程度のショートレッグタイムで走る選手との比較から確認できます。技術的に見ても、改善しなければいけない点が多くあることがわかりました。
 また、一つのミスが大きいことも気になります。トップ選手は、平均して5秒以上のミスをしていません。一方私は、10秒以上のミスが複数あります。世界レベルのレースのミスは、日本でいうミスとはレベルが違います。ほんの少しの減速やふらつきがそのままミスタイムとして計上されるのです。そういった細かなミスに加え、5秒程度のミスをしてしまうと大きなタイム差につながります。これらをゼロに近づけることが順位を上げていく前提条件となります。
 スプリントの技術は、私自身今まで取り組み切れていなかったことでした。ここまで奥深いものだと考えられなかったからです。技術面で大きな差が出ていることが明らかになった以上、まだ見ぬ技術の高みを探っていかなければいけません。
 しかしながら、巡航速度は105を切れなければトップ10はあり得ません。走力、技術力の両輪で突き詰めていくのが世界への道筋になると思っています。

4.今までの取り組み
 ここまで述べてきたように、スプリントで勝つためには走れなければいけません。ただ目標は5000m14分台です。そう簡単に達成できる目標ではありません。そうなったとき、自分の取り組みを一から見直す必要がありました。ここでは、昨年度から取り組んできたことを軽く説明します。
 まず、スプリントに集中することを決断しました。今まで見てきたように、目標達成までの道のりは途方もないものです。特に私は足首に不安を抱えており、フォレストオリエンテーリングは常に怪我のリスクが付きまといます。そこで5000m14分台を目指して継続してトレーニングするために、森に入る機会を極力減らすことにしました。また、フォレストオリエンテーリングによる移動の時間と労力についても再考しました。フォレストオリエンテーリングを行う場合、東京からは最低片道2時間以上の移動が伴います。移動は、時間、体力、金銭的に大きな負担となります。その時間をトレーニングや平日のタスクに割り当てることで、継続してトレーニングする時間を確保することにしました。
 次に、トレーニングの方法を抜本的に見直しました。今までインターバルや日々のジョギング、補強などは継続的に取り組んでいたものの、計画性は特になく大きな向上はなかったです。実際2017年は3200㎞(390時間)、2018年は2700㎞(300時間)と、世界的に見てとてもトレーニングをしているとは言えませんでした。
そこで、よりトレーニングを計画的、合理的なものに変更しました。2019年はトレーニングを積むための土台作りを行いました。具体的には、ジョギングのペースアップ、ロング走の導入、週2回のインターバルなどです。2020年はオリエンテーリングを大きく減らし、ランニングに集中しました。具体的には、トレーニングのボリュームを上げると同時に補強にも取り組み、怪我を予防しながらトレーニングを積み重ねました。2020年は高い質を維持しながら4300㎞を超えることができ、5000m14分台に近づけているのを感じられる一年となりました。
 さらに、自分の目標に期限を設けました。今までは、目標はあるもののそれを目指して漫然とトレーニングをしている状態でした。そのため競技と私生活の優先順位をはっきりさせられず、停滞を招いてしまいました。そこで、自分の競技を2022年までと設定しました。そこまではオリエンテーリングをトッププライオリティとし、目標達成に全力を注ぐというものです。目標に期限を設けることで、今まで漫然と過ごしていた毎日がとても貴重なものに思え、トレーニングにより集中できるようになりました。また競技の優先順位がはっきりしており、現在の生活にも期限があるため、私生活との調整にも迷いがなくなりました。目標の設定の際は、必ず期限を設けることが大切だと感じています。

5.最後の2シーズン
 自分の世界への挑戦はあと2シーズンで終わります。最後の2シーズンを全力で駆け抜け、日本の誰も到達したことのない世界に到達するためにこれからどうするかを書いて終わりたいと思います。
 2021年は、世界との戦いの年と位置付けています。2020年をフィジカルの強化に充てることができたので、2021年はそれをオリエンテーリングに落とし込み、技術を高める年とします。技術の強化は、自分自身まだ道筋が見えていません。ここからどのようにしてスプリントのクオリティを高めていけるか考えていきます。また、来年は世界に出ます。ワールドカップ1レースは、国内レース1年分以上の収穫があります。来年度はレベルの高い国際レースに多く出場し、世界の中で戦える選手となります。
 2022年は最後の年です。悔いが残らないよう、世界選手権に向けてすべてのリソースを注いでトレーニングに励みます。

6. おわりに
 長々と書いていました。こうやって文章に起こしてみると、自分を振り返ることができるのでいいなと思いました。
 昔の自分はずいぶん悩んでいたんだなと前のブログを読んで思いました。何かを変えたいけど、どう変えればいいかわからない。これが一番つらいですね。モチベーション的にも当時が一番落ちていました。今は少し違います。当時より充実したトレーニングができていますし、トレーニングの目指す先も見えています。なぜそうなれたか考えていましたが、きっかけとして思い出されることは二つあります。
 一つ目は、後輩と飲みに行った時のことです。二次会で、言っていることとやっていることが全くあっていない、本気で世界を目指すならもっと走って、もっと真剣になれと言われたことです。確かにその通りだなと思いました。月250㎞程度しか走らず、大した計画性もなく、これで何ができるのだろうと考えました。絶対変わるはずがありません。特に後輩に事実をストレートに言われたことで、何かを変える、変えるために一歩を踏み出すきっかけになったと思います。
 二つ目は、先輩オリエンティアに言われたことです。そこでは、5000m15分45秒、ハーフ75分を達成しろと言われました。これも納得せざるを得ませんでした。いくら練習をしている、世界を目指していると言えども、数字を出せなければ何も意味がないです。ある陸上選手が言っていた、課程は誰も見ていない、結果を出さなければ意味がないという言葉もすごく心に響きます。このタイムはまだ達成できていません。心の中で通過しなければいけない最低ラインと思いながらトレーニングを積んできました。早く達成して次のステップに進みたいです。
 書いていて思いましたが、今の自分は充実しています。なぜなら自分には達成したい目標があり、かつ目標に向けて前進できていると思えているからです。2年後の世界選手権を走り終えたとき、悔いのない自分でいるために走り続けます。
 最後まで読んでいただきありがとうございました。一気に書いたので、内容が薄いかもしれませんが、もし興味を持っていただけましたら直接お話ししましょう。
 今後の私の競技生活、挑戦の結果に興味がありましたら、フォローしていただけたら嬉しいです。大会会場などで気軽に声をかけてください!

来年に向けて

来年に向けていろいろ考えてみました。
ここからもう少し落とし込みが必要ですが、こんな感じでやっていきます。
忘れそうなので、とりあえず書いておきます。

今後のトレーニング計画
これからの目標:
トップスプリンター、留学に向けてフォレストランナーとして森での絶対スピードを上げる、リレーの1走要員になるために巡行90切りを目指す。そのためのアプローチに特化する。

狙いのレース:
世界選手権リレー1走
ワールドカップ(中国)

・秋~冬にかけて
目標:ノルウェー遠征で見つかった、山の中でスピードを上げる能力不足の改善、および5000mで15分を出すためのトレーニング
やること:トレーニング計画を一週間単位で立てる、もう一度5000mの15分を出すためのプロセスを勉強し、計画を立て、実行できるスケジュールを作る。トレーニングの時間を1日2時間作るスケジューリングを行う。
⇒月曜日の午前中を一週間の計画作成、トレーニング計画の作成に利用する

①スピードを上げて山を走る練習
⇒狙い:山の中での最高スピードを上げることにフォーカス
⇒狙ったレース以外の土曜or日曜はこの練習をポイント練習として行う
⇒2k,3kを一セットとして、2~3本行う。計7k程度(ミドルとリレーの距離)をハイスピードで走る感覚を鍛える
②インターバルトレーニング(火、木)
⇒狙い:トラックスピードを上げる
⇒秋~冬にかけては、狙ったレースの週以外は2セットを心がける
③筋力トレーニング
⇒月、水、金
④ジョギング
⇒火、木の朝
⑤オリエンテーリング(スプリント)
⇒月、水、金の午後

秋以降走る主なレース
・9/15.16インカレ
・9/22.23バーティカルなど
10/6.7 クラブカップ
10/13.14 尾瀬岩鞍バーティカル
10/28 全日本ミドル

あいている週末
・9/29.30
・10/20.21

レースによる定点観測
・5000m
・ハーフマラソン
・トレイルランニング大会

冬から春にかけてやること
例年体が動かなくなるので、ここはスピード練習を少し落とし、ロング練習に切り替える。
1月~3月にかけては、長い距離のインターバルトレーニング、トレイルランニング、たまにテレインインターバルを取り入れるなど工夫をする。

3月から6月への取り組み
再びテレインインターバルを増やす。トレーニングのルーチンを秋のものに戻す

来年の夏は?
WOCに出る基準として5000m15分40秒台、テレインインターバルの成果が出たと感じられる結果が春先に見られたら出場をする
秋の中国のワールドカップを目指し、夏は高地トレーニングを取り入れる。世界選手権の代わりにこれをやるのもあり。
例年夏に暑さによりトレーニングができなくなる。これにより7月~9月で調子を落としてしまうので、来年はそれを防ぐために標高が高く涼しい所で長期滞在、トレーニングを行う計画を立て、資金を用意する。
時差ぼけを直すために自分は1週間かかる。ヨーロッパのレースを走る際は、必ず1週間前までに現地入りし、体調を合わせる。

最近のこと

大変お久しぶりです。
ブログとのかかわり方をいろいろ考えている尾崎です。

どうも筆不精の面倒くさがりやなこともあり、かつ理想と現実の不一致もひどく、なかなか書き出せず今に至りました。
遠征仲間の寺垣内選手から、もっと自由に書きたいことを書けばいいとアドバイスをいただいたので、これからはもう少し趣向を変えて書いていこうと思います。

今回は世界選手権についてです。
まず結果についてです。

スプリント
男子予選C組
1 Jonas Leandersson (SWE) 11:36
15 Tomas Hendrickx (BEL) 12:47
15 Mattia Debertolis (ITA) 12:47
—–
27 尾崎弘和(日本) 13:54

スプリントリレー
1位:Sweden 58:27
(1. Tove Alexandersson -2. Emil Svensk – 3. Jonas Leandersson – 4. Karolin
Ohlsson)
2位:Switzerland 58:58
(1. Elena Roos – 2. Florian Howald – 3. Fabian Hertner – 4. Judith Wyder )
3位:Denmark 59:14
(1. Amanda Falck Weber – 2. Tue Lassen – 3. Jakob Edsen – 4. Maja Alm)
————————————————————
——————————–

28位:Japan 1:20:17
(1. Sayaka Onozawa – 2. Hirokazu Osaki – 3. Mutsuki Matsushita – 4. Natsuki
Yamagishi)

このような感じです。
外向けなコメントはいろいろなところでしてきたので、ここでは思ったことを書いていこうと思います。

まず、結果を残せたのはよかったと思っています。
ここ最近、全日本スプリント、ロングとミスパンチ、パンチ忘れにより失格が続いています。
自分のオリエンテーリングの何かがおかしくなっているのは事実であり、そこは改善しなければいけないと感じました。
特に、先読みをしているとき、大事なタイトルがかかったレースで結果を意識しだしたときなどにこういったミスが多いように感じています。
例えば、去年出場したワールドカップ、全日本スプリント、全日本ロングなどいずれも優勝を目指して走ったレースでした。
心を切らさないと言えばそれまでですが、おそらく技術で解決できる問題と考えます。
今年は、サムリーディングを外さない意識を持ち、一年間失格にならないことを心がけます。

次に、自分の結果の内容についてです。
正直実力通りだなと思いました。
がうちさんと話していて思ったのは、やはり自分のやっていることはぶれているなってことです。
というのも、個人としても、日本チームとしても、課題ははっきりしているのに、それに対しても明確なアプローチをとることなく過ごしていたらこうなるよなーってことです。
いい例として中国と日本の比較ができると思います。
これは、PWTの遠征でも、私の友人の中国人留学生と話していてもすごく感じることなのですが、彼らはものすごく合理的でかつ成長が早いです。
昨日、別の人と話していてなるほどと思ったのは、日本の変化は連続的で、中国の変化は非連続的だということです。
どういうことかというと、何か大きな変化がもたらされるとわかったらすべてを変えてしまう柔軟性があるということです。
オリエンテーリングで言うと、世界と一番大きな差は何だと思いますか。
皆が言っているので明らかですが、絶対的に走力です。これは30年前から言われています。
中国は、ここ5年で男子も力をつけています。なぜなら、彼らはみな足が速いからです。
特に、中国遠征をしていても、パークOでは全く勝てません。そんな選手が10人以上います。
しかも、オリエンテーリングの草の根活動もすごく、1000人単位のいくつもの小学校に対し、オリエンテーリングのプロモーションを行っています。
おそらく、日本のオリエンテーリングは、既に中国に抜かれていると思いました。アジア選手権もあの国歌を何度も聞くことになるだろうなと感じます。

この現象は、オリエンテーリングのみならず、社会システムでも当てはまります。例えば、キャッシュレス社会はそうだと思います。
日本は、今あるリソースを大きく変化させることなく、その中で工夫して向上させようとします。例えば、プリペイド形式のカードなどが当てはまるでしょう。一方中国は、現金社会から一気にバーコード決済になりました。今や北京ではほとんど現金が使えず驚きました。
このような非連続的な変化が可能な国は、スポーツの世界でも急激に台頭すると思います。こういった国と戦うにはどうすればいいのでしょうか。

まず、今までを切り崩し、一番成果が出る課題に全力で取り組むことだと思います。
先ほど書いた通り、その答えは走力だと30年前からわかっています。
これを向上させ、中国やヨーロッパの選手と戦うには、日本のオリエンテーリング界からの連続的な変化ではいけないと再認識しました。
具体的には、一度オリエンテーリング界から距離をとり、走力の向上に時間を割くことです。
これは、去年から取り組んでいるスカイランニングへの挑戦、陸上大会の出場があります。
一方で、オリエンテーリングも継続的に取り組んできました。
これが正解なのかわからないですが、これでは今までのやり方と変わりません。
そうなると、目標を意識し、そこまで最速でたどり着く今までと違うアプローチを描かないとしないでしょう。

となると考えられることは次のようになると思います。

目標
オリエンテーリングで、ヨーロッパ、中国の選手に勝つ
⇒彼らに走り勝つ
⇒まずは5k 15分30秒

アプローチ
体力強化につながらない、効果が薄いオリエンテーリングはせず、その時間を走る、寝ることに費やす
陸上、トレイルランニングに費やし、より週末のトレーニングの強度と時間を確保する
遠征費を体づくりのためのサプリメントに費やす
トレーニング時間を50時間(トップ選手の目安)、走行距離を400㎞にする
トレーニング理論をもう一度勉強し、細かくフィードバックする

といったことがあると考えられます。

ただ、自分は短期目標にこれらを落とし込み、達成するところに問題があります。
現に一度も達成ができていません。
このままではまずいことはわかっているので、今後は世界に挑むならばこれを達成してからにします。
自分の目標を達成するためのアプローチを実現し、目標達成のための基準を超えたら世界選手権に出場するようにする時期に来ていると思いました。
まずは1か月、アプローチの実現に向けて具体的なプランを作り、やっていきます。
そこから次のステップに進みます。

WOCの反省というか、思ったことになりました。
今後はこんな感じで思ったことを忘れないように書いていくと思うので、もし興味があったら読んでみてくださいな。

パークワールドツアー参戦記その4

【4日目】
どうも。ついに4日目。
ちなみにこの日もレストディ。なんだか中国楽しく旅行しました記みたいになってきましたね(笑)

この日は朝から万里の長城へ。
世界の一流オリエンティアは観光なんてしません。
彼らはどこへ行ってもやることは一つ。そうです。トレーニングですね(笑)
僕も一流(一留?)の自負があるので負けてはいられません!
早速やってきた激斜。万里の長城やばいっすね。翌日のレースのことは考えずにここは山岳賞を取りに行きました。

制限時間は2時間。ランニングするには十分すぎるくらいですね。
10分くらい走っているといきなり問題が。。。
柵があって先へ進めません。そんなものは海外の一流オリエンティアには関係ない。僕にも関係ありません。
この日はスプリントの日ではないわけで、どこを超えてもOK。
通過可能の柵を超え先に進みます。
しかしまた次なる難関がありました。今度は有刺鉄線の柵がありました。
さすがにみんな超えないかと思いきや、さすがトレーニングに生きる男たち、自らの欲求には正直です。5人は先へ進んできました。
さすがに日中外交問題に発展するのはアジア情勢に響くと考え、そこで断念。
イスラエルのアサフ君とポルトガルのかろりーなとランニング。
逆方向ではちょっとぬるめな柵があったので飛び越えて先まで行けました。
やっぱり観光するにもトレが一番ですね!

そんなこんなで帰宅。疲れました。
しかしまだまだ夜はこれからです。
今夜はカラオケパーティーが企画されているではないですか(笑)
夕食を済ませて皆で外出の準備。電車を乗り継いでカラオケに向かいます。海外のカラオケはどんなものなのか意気揚々と向かう俺。楽しみですね!
カラオケは不思議と既視感。日本と同じやん。
カラオケ行きがてらMorten(2013年スプリントチャンプ)からトレの仕方をいろいろ教わる。
フィジカルのあげ方にもっと真剣になったほうがいいなと感じたり。
カラオケは、なかなか楽しかったです(笑)
僕はTRFを歌いましたね。あとピカチュウいました。怪しげなやつでした。

みんな歌うのはそこそこだけど、本当に踊るのが好き。ただのクラブのような空間になってました。
眠かったので2時ごろ切り上げて帰宅。お疲れさまでした。

Park World Tour参戦記その3

どうも。
ちょいちょい更新していくスタンスで行こうかなと思っています。

【3日目】
この日はレストデイ。
午後から開会式とのこともあり、午前中はオフ。
さて、どうしたものだろうか。オフはいいが気軽に誘える友達がいないなぁ。
部屋に閉じこもるのも何のために来たんだろうってなるし、これはがんばるしかないな。
そんなこんなで朝食会場へ。
そこにはフランスの友人、Fredoがいました。彼はギリシャ彫刻のような顔立ちの世界ランク6位くらいのイケメンいいやつフランス人です。

そんな彼にどこへ行くか尋ねると、自転車こいでショッピングからの、昆虫食べての小高い丘から景色を見てのお昼ご飯とのこと。
なんとまあ楽しそうなことでしょう。ありったけのコミュ力と社交性を駆使して一緒に行くことにしました。
集合時間に同部屋のローレンス君と向かうと、フランスの兄ちゃん3人、ノルウェーの通称うすたぅぶぉ(Oystein)がいました。彼もなかなか面白い人で、とにかく写真をよくとります。基本スマホのシャッターを切ってます。ショッピングも大好きで、たくさん電化製品を買ってました。こんなに使うのかというくらい(笑)値切りにもすごく熱心です。36歳とは思えない若々しさでパーティーでもトレーニングでも世界選手権でも大活躍する男です。日本のWOCを走っているというと、彼がいかに一線で活躍しているかわかるでしょう。

そんなメンバーでバイキング!自転車。
中国には、いたるところに公共の自転車が置いてあって自由に使うことができます。便利な世の中ですね。最近その会社が北海道に進出したとか。日本も便利になりますね。
いい写真がなかった(笑)

しかしさっそく問題が。。。自転車の鍵が開けられません。
どうやら自転車は中国のアプリを入れていないとあかないよう。さらにアプリにチャージをするには中国の口座がないとだめだそう。中国に口座がないと人権がないというのはほんとでしたね。

しかしそこは、世界選手権常連の選手たちです。待ちゆく中国人にいきなり話しかけて、鍵を開けてもらって問題解決!
なんとまあすごい行動力。僕も見習わないとですね。
そして晴れて自転車ゲット。

さてとそこからスーパーへ向かいます。中国はとにかく交通ルールがやばいです。基本信号は無視、右折は赤信号でも、前からも後ろからも横からもスクーターが飛び込んできます。なかなかの緊張感ですね。
そんなこんなで百貨店でお買い物。
そこもまたすごい。

百貨店では基本的に値切ってなんぼです。誰が定価で買うんでしょうねぇ。
とりあえずイヤホンを見ているといきなり店員さんが話しかけてくるわけですよ。中国語で。僕はどうやら中国人に見られるようです。これでだいぶ困りましたね(笑)英語しか話せないのわかった時の残念そうな顔。申し訳ないまであった。
話がそれましたね。まあこんな感じで話しかけてくるわけですよ。

店員「お兄さん。このワイヤレスイヤホン5000円!安いよ。音質もいいよ。聞かせてあげる!」
(聞いてみる)
俺「うーん悪くないね」
店員「そうでしょう。お兄さん最初のお客さんだから4000円で売ってあげる」←ここですでに値下げ(笑)
俺「いや、高いでしょう」
店員「じゃあいくらがいいの?」
俺「1500円」
店員「バカ言っちゃいけねぇ。お兄さん最初のお客だから3500でどう?」
俺「いや、高い。じゃあ買わんで帰るわ。」
店員「待って待っていくらがいい??」
俺「1500円」
店員「じゃあ最後!2500円でどう?」
俺「いや、買う気がないから帰ります。ばいばい。」
店員「待って待って!1500円でいいから買って!!」

こんな感じです。すごい商売精神でしょう(笑)

そんなこんなで冷やかしつつ、昆虫を食べに次の場所へ。
みんなは鞄とか靴とかヘッドフォンとかいっぱい買ってましたね。

昆虫を食べようと意気揚々と向かったものの、その日は休業日。残念。その後山登り。
PM2.5やばいっすね。でも公園はきれいでした。

お散歩をしながらいろいろ話が弾む。まだ英語が戻ってこない。リハビリしてました(笑)
フランス留学するならリヨンがおすすめだそう。オリエンテーリング的な意味では。

その後、餃子を食べて、開会式へ。相変わらずお金かけてるなぁと。中国はオリエンテーリングの普及に本気だ。疲れたのでそこからは何人かでランニング。

ベルギーのランナーとOysteinとChrisとオーストラリアのお兄さんとランニング。
結構このメンバーで走っていたので、ランニング仲間まである。
いいペースで10kくらい。とれ仲間がレベル高いと楽しい。

そんな感じで渋滞に揺られて帰宅。
眠かったから寝ました。おしまい。

たくさん書いてしまった。また書きます。

Park World Tour参戦記その2

【2日目】
一晩ゆっくり眠り、目を覚ますと同部屋の住人も目を覚ましていた。
台湾からきたローレンス君だ。よく日本にも来ているので、見かけたら挨拶してみてくださいな。とってもいいやつです。全日本ロング、ミドルには来ていましたね。

朝起きて、予定を確認。久しぶりの英語だ。あまり出てこない。これ一週間くらい治らないんだよなーと思いつつ。
この日は、最初のオリエンテーリングイベントのようだ。北京郊外の公園でオリエンテーリングをするらしい。

集合時間になって皆と顔合わせ。久しぶりだ。久しぶりのヨーロッパコミュニティだ。なじめるかなとちょっと不安。コミュ力に全ゲージを注いで臨みました(笑)

最初のバス移動だが、マジで渋滞がやばい。本当にやばい。どれくらいやばいかというと、1時間に400m進むくらい。いったい中国の人はどういう気持ちで車に乗っているんだろうな。仕事も間に合わないやん。とか思いつつ、2時間かけて目的地に到着。なかなかきれいな中国の公園でした。

まずはそこで記念撮影。なかなかいい感じに溶け込めたかな(笑)

cof

スプリントは2500の縮尺、滑るテレインでした。結構頑張ったと思うけど、壁が厚いな。


1 Robert Merl ME Austria 0:14:25
2 Gernot Kerschbaumer ME Austria 0:14:36
3 Jonas Vytautas Gvildys ME Lithuania 0:15:13
18 Hirokazu Osaki ME Japan 0:18:30

とれ後は山登り。PM2.5の中の登山(笑)頑張って走りました。

一日目の大きな目標、グループの中で居場所を作るは無事達成できたかなと。
ひとまず、何人か友達ができました!イスラエルの人いい人だ。そしてもともとの知り合いも結構いたし。

夕飯はいつも通り中華!相変わらず多い!
ここから二日間レストデイ。疲れたので早く寝ました。
おしまい。

Park World Tour参戦記

久しぶりのブログ更新です。
お待たせしました。

10月末に中国で行われたPWTに参戦してきました。
久しぶりの一人遠征で不安なところもありましたが結構楽しかったなと。

今日は最初の1日をとりあえず書いてみようかなと。

【1日目】
移動日でした。
成田から久しぶりのANA。空港で夕飯を済ませていざ飛行機!

機内では、君の膵臓を食べたいを見ながら号泣してました(笑)でもあまりに画像が荒くて想像力を掻き立てられながらでしたが。
この映画はおすすめですね!思うに日本人が好きな「はかなさ」にクリーンヒットした作品じゃないかなと思います。僕も例にもれず、こんな作品にはめっちゃ弱いですね。
http://kimisui.jp/

そんなこんなで中国に到着!相変わらずでかい!さすが4000年の歴史。そういえば最近中国は6000年の歴史っていうらしいですね。歴史の重みがさらに増してきてるらしい。話がそれましたね。
空港に着いたはいいが、そこからがなかなか長い。。。
入国審査に長蛇の列、手荷物受取に10分待ち、そこから外に出るのもまた長蛇の列。
なんだかんだで一時間。何とか空港から町への終電に飛び乗りこれで一安心、、、かと思っていました。

町の中心についたはいいものの、なかなかそこからがなかなか遠い。
とりあえず地下鉄に乗り換えようとしたものの、そこでまた問題が。。。
どうやら終電がなくなってしまったようだ。その時すでに23時。空港で時間を取られすぎた模様。
途方に暮れる電車利用者たち。
とりあえず経路を調べてみるものの、

スーツケースを持って歩ける距離じゃないですね。

そこでタクシーを探すことに。さすがは中国。タクシーだけはいっぱいありました。
どうやら大半は白タクのようで、7キロ2000~3000円とずいぶんと足元を見てきます。
ちなみに空港からは3500円、なかなかふざけた価格設定やなと思ったら一人のおじさんが話しかけてきました、中国語で。
もちろん何もわかりません。
とりあえず高い高いと日本語で言ってたら1500円くらいになったので、乗ることに。
しかし、これはタクシーだったのか。いまだによくわかりません。
トゥクトゥクでしたっけ。これ。廃ガス臭かったですが、なんか仲良くなりました(笑)
道を間違えられたりしながらも、結局値上げを迫られ、100元(1800円くらい)で手を打ちました。
中国に限らず、海外はお金やビジネスの付き合いと人付き合いは全く別物だなと思いますね。
値切っても、いろいろ意見しても関係が悪くならないのはいいことだ。

中国いい国だ。無事布団で寝られる感謝を胸に一日を終えました。

世界選手権出場しました

どうも。

7月のはじめですが、オリエンテーリングの世界選手権に出場してきました。
結果は以下の通りでした。

Sprint qualification
1 Matthias Kyburz Switzerland 11:08 4:06 A
2 Kristian Jones Great Britain 11:15 +0:07 4:09 A
3 Jan Petrzela Czech Republic 11:18 +0:10 4:10 A
——————————————————————————
15 Otto Simosas Finland 11:58 +0:50 4:24 A
——————————————————————————
27 Hirokazu Osaki Japan 12:44 +1:36 4:41

Long
1 Olav Lundanes Norway 1:45:25 6:10
2 Leonid Novikov Russia 1:47:15 +1:50 6:17
3 William Lind Sweden 1:47:38 +2:13 6:18
4 Magne Daehli Norway 1:48:33 +3:08 6:21
5 Eskil Kinneberg Norway 1:49:58 +4:33 6:26
6 Daniel Hubmann Switzerland 1:50:24 +4:59 6:28
—————————————————————————–
62 Hirokazu Osaki Japan     3:01:03 +1:15:38 10:37

Relay
1 Norway 1:34:50
1. Eskil Kinneberg 32:06 2 +0:04 32:06 2
2. Olav Lundanes 31:08 1 1:03:14 1 -1
3. Magne Daehli 31:36 3 +0:11 1:34:50 1 0

2 France 1:36:06
1. Frederic Tranchand 32:02 1 32:02 1
2. Lucas Basset 32:33 4 +1:25 1:04:35 2 +1
3. Thierry Gueorgiou 31:31 2 +0:06 1:36:06 2 0

3 Sweden 1:36:53
1. Johan Runesson 32:12 7 +0:10 32:12 7
2. William Lind 33:16 9 +2:08 1:05:28 4 -3
3. Gustav Bergman 31:25 1 1:36:53 3 -1
—————————————————————————–
29 Japan 2:32:57
1. Hirokazu Osaki 55:16 30 +23:14 55:16 30
2. Mutsuki Matsushita 51:38 28 +20:30 1:46:54 29 -1
3. Yuta Tanikawa 46:03 29 2:32:57 29 0

今年の世界選手権はなかなか試練の多いものでした。

スプリントは、自分の実力が出せたといえる結果でした。
かなりの土砂降りだったこともあり、地面は相当滑りました。
靴はランニングシューズで出走してしまったため、上り下りのロスがありました。
ただ、去年の結果よりもいい結果を残すことができ、来年に向けたステップになったと思います。
一方、今のままの実力では、予選の通過はありません。
キロタイムで約20秒はかなり大きな差です。根本的なランニングスピードに大きな差があります。
一方、この一年のアプローチで確実に予選通過ラインに迫ることができていると感じることができました。
特に、5月にフィンランドであったワールドカップ、今回の世界選手権を見ると、徐々にではありますが、前進しています。
ここからまた一年、ランニングスピードの強化を軸としたアプローチで、世界の舞台に立てるように努力していきます。
QMEN B

ロングは、一番厳しいレースとなりました。
今年の私のアプローチがスプリント、ミドルにフォーカスしたものだったため、17キロを超えるレースに耐えられるか不安がありました。
レース自体は、前半大きなミスはあまりなく走ることができました。
しかし、後半に差し掛かると、エネルギー切れを起こしてしまい、ほとんど走ることができなくなってしまいました。
その結果、トップとの大きな差が生まれてしまいました。
今回のレースを振り返ると、ロングに対する準備不足、準備の難しさを感じます。
特に、2時間を超えるレースに耐えるためには、2時間を超えるオリエンテーリングを普段から行っている必要があると思います。
また、ロングレースは、その最大の特徴であるロングレッグの対処や細かなルートチョイスも求められます。
そういった練習は、海外である一定期間練習を行わないことには身に着けられないと感じました。
今後ロングにどう向き合っていくか、これから考えていきたいと思います。

最後はリレーでした。
リレーは、久しぶりに第一走者をやりました。
戦略は、集団において行かれないことでした。
しかし、1番コントロールが見つけられず、そのまま集団において行かれる結果となってしまいました。
海外のリレーは日本と性質が大きく異なります。普段パックのリーダーを形成している選手が、パックについていかなければならなくなります。
そのため、練習をするのがすごく難しいです。
今回リレーを走って思ったのは、日本にいる以上、このシチュエーションの練習はできないので、海外に出て、積極的に練習を積んでいく必要があると痛感しました。
特に、世界のスピードについていける選手が、海外で経験を積む必要があると思います。

今年の世界選手権は、変化の年にしようという意気込みで臨みました。
成績は大きく向上することはありませんでしたが、確実に変化を感じることができる世界選手権でした。
ここから1年、また準備の方法を考え直し、来年はよりよい結果が出せるようにやっていきたいと思います。

まずは今月末にラトビアで開催されるワールドカップ、特にスプリントは気合い入れて臨みたいと思います。

全日本大会終了!

どうも。
全日本大会が終わりました!いろんなところで広報していましたが結果は優勝です!!!
やったーーーー!!!めでたい!!!!!

結果
1 尾崎 弘和 1:09:18 トータス
2 小泉 成行 1:13:04 O-Support
3 寺垣内 航 1:14:27
4 猪俣 祐貴 1:16:08 杏友会
5 松尾 怜治 1:16:50 東大OLK
6 堀田 遼 1:18:42 トータス

写真(上林氏、国沢氏撮影)

ルート

今回のレースは、昨年の全日本のレースが悪かったこともあり、絶対にいいレースをしたいという思いが強かったです。
レース前一週間は忙しく、なかなかレースのことを考える時間がありませんでした。
その中でも早稲田のサークルの後輩と地図を読んだり、戦略を考えたりしながら、レースに備えることができていました。
自分の気持ちはうまくレースに向けて合わせていくことができました。それもあり、当日は結果を意識せず、走りきれたのかなと思っています。

勝ったレースはたいていすべてが美化されるなと思います。
というわけで、ここでは、今回のレースに向けた取り組みで甘かったこと、もっとできたことを考えてみたいなと思います。

まず、世界選手権で結果を出すには、まだまだ巡航が足りません。私の体感、冬にコーチに言われたことを考えると、世界選手権で40位以内に入るにはこのレースで巡航80台を出さないといけなかったです。
今の自分では、出せて95%程度だと思います。そうなると何が足りないか。これは走るスピードだと感じざるを得ません。
この冬は、けがなくトレーニングが積めたといえども、目標とするトレーニング量は達成できていません。
そのため私は、来年以降全日本に臨むにあたり、スピードの壁を破り新たなステージで走れるようにしたいと思います。

次に、レース前の準備が足りていませんでした。
レース前にやったことといえば、前日のコース予想、戦略の決定、読図走程度でした。
しかし、本来であれば、事前に矢板のテレイン情報収集、緻密なアナリシス、コース予想をもっと徹底的にやらなければいけませんでした。
時間がないことを言い訳にこれらを怠ってしまっていたことは、全力でレースに臨めていなかったということです。
来年以降どのような準備をするか、今年のうちに考えておき、実行できるようにしたいです。

最後に、当日のコンディションです。当日は、多少の睡眠不足感があり、風邪気味でした。これは、全日本前の一週間に予定を入れすぎ、無理をしてしまっていたからだと思います。
大事なレースの前にかかわらず、予定を入れてしまうのは、全日本に対する意識が足りていなかったのではないか、そう考えています。
これから控える重要大会に向けて、スケジュールの管理は徹底したいです。

つらつら反省を書きましたが、ブログはこういう風に別のところでは書けないようなことを書きたいですね。
次は世界選手権です!!
次回の更新をお楽しみに!!